
夏井川でみる自然の造形美
大滝根山(田村市)を水源とする夏井川と、その支流がつくる自然の造形美を一年中楽しめる夏井川渓谷。
夏井川渓谷をもっとも楽しめるのは磐越東線に乗ることなのですが、一日に何本も走っているわけではないので、地元民は車で渓谷沿いの細い道路を、互いに道を譲りながら走ります。
ビューポイントはたくさんありますが、ここでは篭場の滝と鹿の又川渓谷を少しだけ紹介します。

あぶくま洞から流れてきた夏井川
夏井川の源流の大滝根山の山頂付近には、航空自衛隊のレーダー施設があるので立ち入ることはほとんどありませんが、その斜面にはあぶくま洞や入水鍾乳洞があることで有名です。
そこから流れてきた水が夏井川で、その渓谷の美しさには定評があり、たくさんの人々がカメラ片手に集まります。とくに紅葉の時期になると大渋滞となります。
なかでも人気の背戸峨廊は大勢の方がやってくる人気のスポットです。
周辺は夏井川渓谷県立自然公園に指定されているため、人の手の入っていない、美しい自然に出会うことができます。
磐越東線と何度も交差する夏井川
夏井川に沿って走る道路は、川に沿ってくねくねとうねっているうえに、何カ所か相互通行がむずかしい難所があることも渋滞する一因です。
大正時代に敷き設された磐越東線と何度も道路が交差していて、川沿いに鉄道と道路の双方をつくることができる十分な平地が少なかったのだと想像できます。
周辺は岩でできた山。
夏井川も大きな岩がごろごろと並びます。



夏井千本桜と夏井諏訪神社
夏井川沿いには、かつて夏井村がありました。
現在は夏井駅にその名称を残していますが、この夏井駅からすぐのところが夏井千本桜です。
桜の名所として有名な場所で、4月下旬からゴールデンウィークにかけてが見ごろを迎えます。
また、この駅のすぐ近くには、夏井諏訪大社(神社)があります。
樹齢1000年をこえる杉をご神体とした神社で、巨大な2本の杉からはパワーを感じます。


福島県小野町にある、夏井諏訪大社の御神木、翁(じじ)スギと媼(ばば)スギです。
樹齢は1200年以上、翁杉は目通り9.2m、樹高は48.5m、媼杉は目通り9.5m、樹高47.8m。
夏井諏訪神社は、蝦夷の反逆鎮圧のためにやってきた藤原継縄が、戦勝祈願のために植えたものがそのままご神体となったとされています。
道路沿いの篭場の滝をお見逃しなく!
夏井川渓谷の人気スポットは背戸峨廊なのですが、1年位前の大雨で立ち入り禁止になっていました。
急いでいる方向けのスポットとしては、道路沿いにある「篭場(かごば)の滝」があります。
「篭場の滝」は、平藩主が籠をとめて、この景色を堪能したことが名前の由来だといわれています。






大きな音がするので、川の谷に張り出した岩に上ってみると、そこにゴウゴウと流れ落ちる滝がありました。
ちょっと怖いですが、岩の先のほうに行くと、滝が少しだけ見えます。
川遊びするなら鹿の又川渓谷
この篭場の滝では川遊びはできませんが、磐越東線川前駅から少し入ったところにある、鹿の又川渓谷は、子どもと一緒に川遊びができそうな場所があります。
水深が浅い場所が多く、岩底なので、足が滑るようなこともなく、川の中に入ることができます。




珍しい植物に出会えるかも
この時期の阿武隈山系は、ヤマブキの花が満開です。
つつじもあちこちで彩を添えますが、よく見るとちいさなスミレの花もたくさん咲いています。




夏井川渓谷周辺には、スダジイを主とした福島県指定天然記念物のシイノキ群やモッコク、カリン等の大木もあります。注意して観察すると、めずらしい植物と出会えるかもしれません。